コンコン


「桜ちゃん?あれ、いるの?」



...きっと、上原先生だ。

電気をつけてないから、いないのかと思っているのだろう。


そしたら、ぱちっと明かりがともった。



抗がん剤... 点滴...



嫌だ... やだっ... やんないっ!



やだやだやだっ......!!!



「ハァハァハァ... ッ」



毛布をかぶっていたせいか、それとも...抗がん剤が、嫌なのか。


また、過呼吸ぎみに... なってきた






肩を上下させて、それでも見つかりたくなくて...



「桜ちゃん?!」


その声と同時に、毛布がガバッとどけられた。



やだ... やだっ...



「はぁはぁ... 」



「桜ちゃん大丈夫?すこし音聞かせてねー」



すこしびっくりしたように、聴診器を持って近づく先生。


聴診だけ。それだけってわかってても、体が拒絶しちゃう。



「やっ.....やめて... はぁはぁ」





あたしは、手を振りはらって病室を走って出た。