なにか悲しくて、辛そうな、でもそれを心に閉じ込めてるような。




「...なんでよ。」




「...桜、勘違いするなよ?俺は、桜のため... 」

「うるさいっ......!!」




はじめて、亮樹兄ちゃんに大声をあげた。


自分の声が、部屋中に響きわたる。



手が、足が、震える。



嫌だ...嫌だ... !


亮樹兄ちゃんじゃないのなんて、嫌だ!



なんで...?だってあたし、自分の病気がそんなに悪くなってるなんて、亮樹兄ちゃんの口からは聞いてないのに。





「あたしの病気... 悪化してるんでしょ。ぜんぶ知ってる!あたし聞こえたんだから!

一時帰宅させたのも、良くなってきたからじゃなくて、...ただ、残り少ないからって?

.....そうなの?」





声が震えるのを必死で止めようとするけど、ひどくなるばかり。



「っ... さくら...。」




「どうせあたしのことなんて嫌いになったんでしょ!

そうだよね、体調わるいの隠してて、あげく倒れたんだもんね!?

しょせん、あたしなんてただの患者だもん!

こんなのいたって迷惑なだけでしょ!?」






思ったこと、思ってないこともぜんぶ言ってしまう。



息が荒くなって、苦しくなって...





「桜っ...!?桜っ、大丈夫か...」



「やだっ... さわんないで!!

ハァハァ...亮樹兄ちゃんなんて...

亮樹兄ちゃんなんてだいっきらい!!」




そう、手を振り払った。