しばらく注射したあとをなでていると。
「んで、桜?抗がん剤はどうする?
今日はやめとくか?」
心臓がドクンと飛び上がる。
そうだ...。それがあった。
どうしよう。
たぶん、亮樹兄ちゃんは昨日のあたしの状態をみて、言ってくれたんだと思うけど...。
「......ううん。やる。はやく... 終わらせたい。」
力なくそう言うと、亮樹兄ちゃんは微笑んだ。
「わかった。えらい。」
あたしの頭を撫でると、トレーを持って部屋を出ようとする。
「じゃあ、もう少し落ち着いたらまた来るから。そのときやろうな。」
あたしは無言でうなずいた。
嫌だけど、しょうがないんだよね。
みんなが、支えてくれるなら、大丈夫だよね。
でも、ここからが本当の命の戦いだとは、
まだあたしも知らなかった。


