「そんじゃ、抗がん剤打つけど、気分悪くなったらすぐに言うんだぞ。」 あたしは、ゆっくりうなずく。 心臓のバクバクが止まらない。 これから、これが体の中に入っていくんだ...。この薬が体を苦しませるんだ...。 そう思うと、刺すための腕も引っ込みそう。 「......桜、大丈夫か?」 そんなあたしを見てか、心配そうな声色の亮樹兄ちゃん。