「では、明日から君もここ、区立桜木小学校の生徒だ。よろしくね、森崎晃斗くん。」

しわがれた右手を差し出された。その右手の主は、ここの校長の林田琉(ハヤシダ リュウ)だ。なんとも、父親が旧琉球王国の役人だったらしい。

その右手を適当に握り返すと、俺は一礼をして外に出た。

俺、森崎晃斗(モリサキ アキト)。有名企業、森崎自動車の社長の息子だ。
そしてここ、区立桜木小学校は、明日から俺が通う学校。

ここでは、正体を隠してみよう。そう決めた。

僕は歩きだした。真っ赤なカエデが、風に吹かれて揺れていた。