「で、残りのメンバーも訳ありか」

「ご名答。訳あって入居し、花開いた奴らばかりだ。奥様の遺志は無視していない。封筒にコイツらの資料を入れておいた。帰ったら見るといい」

「分かった。もう下がってくれ」

 金成は一旦立ち上がったが、何を思ったのか、再び腰を下ろす。

「高徳寺の提案……清のホテルも関与しているらしいな? あのな、本心を言おうか……」

金成は窺うように清の顔を見る。そして、聞く耳があるらしい相手にホッとすると話を続ける。

「俺は今まで琶子の心情を重んじ外界とのパイプ役を担ってきた。だが、もうそろそろ殻を破ってもらいたい。そして、外の世界を見て欲しい……いいきっかけだと思った」

清はソファーに身を預けると、目を閉じ、人差し指で米神をコツコツと叩き、少し考える。そして、徐に目を開ける。

期待を込めた金成の目が清を見詰める。

「この件、俺に任せてくれるか?」

金成はフフンとほくそ笑む。

「ああ、他人のことに無関心のお前だが、今回の件は……たぶん、そう言ってくれると思った。了解した。そう言えば清、お前、まだ琶子に会っていなかったな」

「いや、面会済みだ」

思ってもいない返答に、金成が素っ頓狂な声を出す。

「ハァ? どこで?」

思い出し笑いする清に、益々訳が分からない、と金成は首を捻る。