「あえて突っ込む。ここは要塞か。アッ、まさか愛しき姫を隠しているとか?」

長めの黒髪をオールバックに撫で上げ、シルバーフレームの伊達眼鏡を掛けるこの男、高徳寺則武(こうとくじのりたけ)。十六代続く高徳寺家直系の次男。マスメディア界の頂点に立つ高徳寺コンツェルン傘下、KTG出版代表。
チョイ悪インテリイケメン振りと口八丁手八丁で、女性のみならず男性をも懐柔し虜にする、インテリ系モテ男。

「フーン、だったら琶子は『眠り姫』だね」

フワフワとカールの掛かった栗色の髪、色素の薄い肌。頬にエクボを浮かべるこの男、水佐和裕樹(みずさわゆうき)。総合商社MSWの御曹司。世界二十八か国に支店を置く高級レストランM代表。『味覚の申し子』と異名を持つ天才シェフでもある。
極甘綿菓子系イケメン振りとソフトな口調で、老若婦女子を骨抜きにする、パピー系モテ男。

「しかし、お前のとこ、地味な事業始めたな。何故にシェアハウス?」

則武は組んでいた長い足を解き、前のめりになると清に迫る。

短髪な漆黒の髪。無表情の顔にミステリアスで魅惑的な三白眼が印象的なこの男、榊原清(さかきばらせい)。日本を代表する旧三大財閥を影で操る榊原財閥を母体に、金融・観光・エネルギー方面で業績を伸ばす大企業、榊原ホールディングス副総帥。
寡黙でクールな俺様系イケメン振りとナイフのような鋭い視線で、世界中の人々を圧する、キング系モテ男。