「榊原さんと琶子はもっとこう、違う次元で……そうね、魂、そこで繋がっている、そんな風に思えるの。だから、時間なんか関係ない、そう思うの」
魂で繋がる……その言葉がジグソーパズルの1ピースのように、琶子の心の隙間にパチンとはまる。
ああ、確かにそうだ! パッと琶子の顔が明るくなる。
「登麻里先生、ありがとうございます。何だかスッキリしました」
「琶子、ここはもういいわ。お部屋に戻って、ゆっくり休みなさい」
薫が微笑む。登麻里も琶子の頭をポンポンと優しく叩き、「お役に立ててよかったわ。おやすみなさい」と笑む。
琶子は二人の言葉に甘え、心地良い眠りに誘われ自室に戻る……途中で、清に捕獲される。
登麻里と薫は、琶子を見送ると残ったワインで乾杯する。
「眠りの森の愉快な仲間たちに!」
「そして、偉大なクローバーたちに!」
「チア-ズ」と英語で薫が、「チャイ・ヨー」とタイ語で登麻里が、乾杯とグラスを目線に上げる。
「で、登麻里は本当にこのまま一生ここに居るつもり?」
「つもり」
コクッと一口飲み、フッと笑う。
「眠りの森からたくさんの女性が飛び立っていったわね。私はそれを見るのが好きなの。幸せそうな彼女たちの顔を見ると、幸せのお裾分けを頂いたみたいで」
「まるで、眠りの森の母ね」
「……嬉しいわ。母になり損ねた私には最高の言葉だわ。で、薫は? このままズット」
グラスに口を付けたまま、薫は頷く。
「私は眠りの森の母になるつもりはないけど、キッチンにいつも甘い香りを漂わせていたいの。風子さんの思いを継いで」
正式には母じゃなく父ね、と心で突っ込み入れながら、登麻里は「風子さん……かぁ」と懐かし気な瞳で宙を見る。
「琶子はたぶん、風子さんの代わりに眠りの森をシェルターとして守っていってくれるんじゃないかしら。だって、榊原家の嫁だし、眠りの森が大好きっ子だから」
薫も大きく頷く。
「そうね、きっとそうなるわ」
「本当はシェルターなんて要らない世界になったらいいんだけどね」
「それは理想論。現実は、まだまだ虐げられた女性が大勢いるわ」
登麻里も薫も悲し気な目で頷き、その瞳に闘志を漲らせる。
「だから、琶子と共に守るわよ!」
「エエ! と、いうわけで、もう一度」
薫はグラスを目線に上げる。
「眠りの森に! かんぱ~い」
「乾杯!」


