「で、榊原さんと結婚するまで、ここに居るの?」
登麻里は手を動かしながら琶子に聞く。
「私はここに居たいかな、って思っていますが……」
「彼、絶対許さないでしょうね」
「同意だわ。ひと時も手放したくないって感じだし」
琶子はショボショボする目を擦り、大きな溜息を付く。
「……結婚、本当にするんですかね?」
「何を今さら」
薫が呆れ顔で琶子を見る。
「だってですね、まるでジェットコースターです。あれよあれよという間にこんな状態ですよ、本当かな? って思っちゃいます」
「分からないでもないわね」
登麻里が頷く。
「でも、男女の仲ってこんなものかも。何年付き合っても結ばれないものは結ばれない。結ばれても切れる縁もある……」
過去を思い出したのか、登麻里の顔に翳りが浮かぶ。しかし、それは一瞬だった。


