「榊原さん! それに琶子」
「酒盛りですか、ご相伴します」

清がニヤリと笑う。琶子は目を真っ赤にしている。
どうやら、二人の話を聞いていたようだ。

「登麻里さん、薫さん、私はズットここにいます! ズット年末年始を一緒に過ごしましょう!」

「こら、お前は何を言っているのだ!」

間接的に『結婚しない宣言』にも聞こえる言葉に、清が慌てる。

「ハイハイ、痴話喧嘩は自室でどうぞ」

薫がパンパンと手を叩く。
清は「少し黙っていろ」と琶子に耳打ちする。そして、コホンと咳払いすると、登麻里と薫に向かう。

「話を戻そう。できれば、二人にはズットここにいて欲しい、というのが俺の所感だ。でも、もし嫁に行くなら、止めはしない。住人たちが眠りの森から幸せに飛び立つのが母の願いだからな」