清は琶子をカウチソファーに座らせ、その横に自分も腰を下ろす。

「何故、そう嫌がる? 人前に出る以外、訳があるのか?」
「……」

無言の琶子を清はジッと見つめ、その肩を優しく抱く。

「まぁいい……」
「私、疫病神なんです」

琶子が唐突に口を開く。

「私が関わると、皆、不幸になるんです。両親も風子さんもナナちゃんも……。そんな私が皆の前に出るなんて……」

グッと唇を噛む。

「だから、これは止めろ」

清は親指の腹で唇を撫でる。

「お前はそんなことを思って……十数年生きてきたのか……」
「……」

清の大きな手が琶子の髪を優しく撫でる。

「お前のせいじゃない。お前は疫病神なんかじゃない。それはイベントに出れば、分かる筈だ」

琶子は涙の溜まった瞳で、訝し気に清を見る。

「とか何とか言って、ただイベントに出てもらいたいだけじゃないですか!」

心にあるのは……疑心暗鬼から生まれる『警戒心』『猜疑心』『不信感』
やっぱり……疑ってしまう。