「アッ! 桃花起きたの?」

顔面蒼白の桔梗が桃花に駆け寄る。
寝惚け眼の桃花がもう一度訊ねる。

「おじちゃんがパパなの?」
「……あの……桃花、その……」
「ああそうだよ。俺が君のパパだ」

則武は桃花の前に跪き、桃花の頬を撫でる。

「そっか、桃花のパパはこんなにカッコよかったんだ」

ガーデンパーティーの時は、おじちゃん扱いで、結構、散々な目に遭っていたけど、と則武は苦笑いを浮かべる。

「そっかぁ」と桃花は則武の首に抱き付き、「そっかぁ」と何度も繰り返し、そのまま、また眠ってしまった。

則武は桃花を抱き上げると、不安気に桔梗に訊ねる。

「なぁ、コイツ、今のシーン、夢だと思っていないか?」
「……さあ、どうでしょう」

クスクス笑いながら、桔梗は可愛い天使の寝顔を見つめる。

「クソッ、なんてこった! 俺のドキドキを返せ。今、すっごい緊張したんだからな」

だが、そんな文句も、腕の中で眠る愛おしい我が子を見た途端、消え去る。

「まっ、いいさ……何度でも言ってやる、俺がパパだってな」

桃花の額にキスをし、脇に立つ桔梗優しく見つめる。

「桔梗、本当にありがとう。コイツを産んでくれて、育ててくれて」
「則武……」

桔梗の目から一筋涙が零れ落ちる。
琶子も感動にウルウルと瞳を濡らす。

「よかったです。本当によかったです」

そんな琶子に清がソッと耳打ちする。

「なぁ、俺らも子供作るか」