眠りの森のシンデレラ


それから三分後、清はお腹を撫でながらソファに横たわっていた。

「お前だけだぞ、俺を拳固で殴り倒すのは」

あの後、清は琶子からボディーブローを食らった。
その威力たるや、流石、有段者を打ち負かすだけあった。
清は声が出ないほどダメージを食らい、今に至るというわけだ。

「自業自得じゃないの」
「黙れ、裕樹」

怒りながらも、力が入らない清に、いつもの覇気は全く見られない。
それが何だか可笑しくて、裕樹は奥歯を噛み締め、笑いを堪える。

「で、何故、琶子を泣かせた! 抱き締めた!」
「それは……」

裕樹はモゴモゴと口ごもり、琶子を見る。

「どうして見つめ合うんだ!」

怒り心頭の清に、琶子が言う。

「榊原さんも、そのうち分かります。……その時がきたら」

琶子の瞳があまりにも真っ直ぐで、その瞳に射貫かれ、清は納得せずして、それ以上追求できなくなった。

「で、榊原さんこそ、何のご用事でいらしたの?」

琶子が尋ねる。

「ああ……別に用事という用事ではないが……」

いつになく歯切れの悪い清に、琶子と裕樹が顔を見合わせる。