眠りの森のシンデレラ


軽く触れた先日のキスとは全く違い、シッカリと合わさった唇と唇。

琶子はあまりの驚きに目を見開いたまま、清の瞳を間近に見つめる。
清もまた、琶子の閉じぬ瞳を見つめていた。

「キスの時は目を閉じるものだ」

清は唇を僅かに離し、琶子の唇の上で囁く。

我に返った琶子は、清から離れようと身を後ろに引くが、そうはさせない、と清は琶子の腰と後頭部を力強く腕に抱く。

「先日も申した通り、キスは好き同士……」

抵抗する琶子を抑えながら清は事もなげに言う。

「大丈夫だ。この前は微妙だったが、俺はもうお前を好きになった。お前も俺のことを気に掛けていたのだろ? 好きになったも同然だ」

「ハァ? それ、どんな道理ですか!」

琶子はブッ飛んだ清の思考についていけないと左右に首を振り、ハタと止める。

「……エッ! スキ? 好きなんですか……私のこと……」

改めて言葉の意味を理解した琶子は、異性からの初めての告白に妙な感想を抱く。

「フム、今の台詞、恋愛小説には使えない……ロマティックじゃないもの……ここは……」

清は、コイツ、現実逃避したな! と心ここにあらずとなった琶子の姿を見つめ、ならば今一度現実に戻してやろう、と再び琶子の唇に唇を落とす。