「ところで、今更だけど、金成との関係は?」
「親の代からの付き合いだ。ここはズット彼が管理している」

則武が問うと、清は素っ気なく答える。

「ねぇ、清って、この場所嫌い? 久しく来ていないよね、ここに」

清は切れ長の眼に、炯々たる光を宿し、裕樹を一瞥する。

「鋭いことは、時に刃となり人を傷付ける。余計なところで勘を働かせるな」

沈静なる水面の様は、強面で怒鳴られるより恐ろしい。

「なぁ……」

則武は裕樹を肘で小突き、耳元に口を寄せると小声で囁く。

「奴のあの視線で十人は瞬殺できるよな」
「うん。今、僕、瀕死状態……」

さっきまで怒っていた則武も、憐れみと同情の念を湧き、「ドンマイ」と裕樹の肩を叩く。

三人を乗せたリムジンは、大きな円形花壇に沿い、弧を描きながら緩やかなカーブを曲がる。

「おっ、着いたようだぜ」

そして、舞台を上るように、下手から上手へと移動し、玄関中央で静かに停車した。