「お前! 本当に悪知恵……もとい、策士だな」
「何! 何? どういうこと?」

裕樹の問いに則武が悪い笑みを浮かべる。

「ネタバレはイベントで! だよな?」
「エッ、もしかしたら、全てイベントのための序曲にでもするつもり?」

裕樹は、それは琶子ちゃんに失礼だ! と大反対する。

「裕樹、お前は少し勘違いをしている。琶子を利用するつもりはない」
「それならいいけど……」
「アー! じゃ何だって言うんだ!」

則武は血相を変え、慌てて聞く。

「俺は琶子と結婚する。よってスキャンダルの揉み消しも必要ない」
「ハァ!」

則武と裕樹の声が綺麗にハモル。

「お前、トチ狂ったか! 今、自分が何言ったか分かっているのか?」
「スキャンダル一つで、いきなり何でそうなるの?」
「本当、これだから恋愛初心者は困るんだ! 冷静になれ!」
「冷静になるのはお前たちだ。俺は平静だ」

訳が分からん! と則武は首を振り、頭が痛い! と裕樹は米神をグリグリする。

「とにかくだ、お前の結婚は横に置いて……」
「何故、横に置くのだ。正面に置け」
「ああもう! こういう時、天然は止めろ、話の腰を折るな!」

則武がイライラと吠える。