「佐原さん…」




桜が吹雪く季節。


眠くて重くて仕方なかった私の瞼は、その言葉でカッと見開かれた。


「…なに?」




…危ない危ない。本性が出てくるところだった。


恋は駆け引きなのよ。

もう少しの辛抱。

さあ、続きを言え!



しかし、いくら時間がたっても
心臓がバクバク言う音しか聞こえない。





桜の木の下に呼び出すところがまた可愛い。

目の前にいる麗しい少年は、瞳を潤ませ、頬を赤らめたまま意を決したように顔を上げた。



「佐原さん!僕とつきあ「はくしゅっ!!!」



あ。




桜の花びらが彼女の鼻をいたずらにくすぐった。