「涼香、全部使っちゃったのね」
「うん」
ごめんねレイ。
あなた自身が消えてしまうかもしれない危険性もあるのに。
バカな賭けをしているのも分かっているの。
「もしも、全てリセットされたらどうするつもり?」
黒板に記された文字や絵が、ジワジワと光を放ち黒板に溶け込んでゆく様を見守りながら、静かにレイが呟いた。
「リセットされちゃったら、また出逢うまでのことだよ」
「涼香? だって、碧人とは出会えない人生になるかもしれないのに」
「大丈夫。碧人と私は出会う運命にあるのなら、いつか必ず出会えるから」
それが、今じゃなくても。
遠い未来でも。
きっと、運命なら。
二人は引き寄せられるように出会えるはず。
「だから、こうして黒板にも書いたんだよ? 見て」
指をさした黒板には、消えかけている文字。
【碧人と涼香、運命ならば必ず出会い、惹かれ合い、恋に落ちる】
こんなことをしても無駄かもしれない。
けれど、可能性のある事は書いてみなければわからない。
私は、持っていた残りのチョークをレイに返した。
再びレイと出会えたら。
その時は、またこのチョークを私に渡してほしいから。



