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以前と違い、私は蒼人の腕の中で27歳の私として目を開けた。


見上げると、27歳の蒼人が私を見下ろし微笑んでいる。


「……27歳の涼香も、やっぱイイな」

「ん? どういう意味?」

「大人の涼香は制服姿の時より、やっぱ色気がある」


そう答えた私の唇に、キスを落とした碧人。

見た目は27歳の碧人だけど、中身が17歳の碧人だと分かっている私には少々複雑。


「なんだよ。17の俺より上手くなってるだろ?」なんて、確認するように聞かれてしまっては、素直に答える事さえも、何だか恥ずかしい。


27歳の碧人にキスされた時の私は、中身が17歳の碧人だったなんて微塵も思っていなかったから、単純に大人の碧人にときめいていた。

それが、大人の魅力ってやつなんだと思っていたのに。

あの時も。

中身が17歳の碧人だったと知ってたら、私が思った事は、また違っていたはずだ。


「それより、10年後の教室にまた来るとはな。あいつは? どこに居るんだよ」

「レイ! レイ、居るんでしょ? 出て来てよ」