勿論、その様子を隠れて見ていた彼の友人達からも、女子生徒はからかわれてしまった。
彼女は大勢の前で恥をかかされ、心にも大きな傷を負ってしまったのだ。
その様子を偶然見てしまったレイは、女子生徒の前に姿を現し、彼女に七色に輝くチョークを握らせたのだ。
「このチョークで黒板に願い事を書きなさい」とレイに告げられた彼女は、男子生徒に告白した事実を無かったものにしたのだ。
彼女は自分を見世物にした彼を許せなかった。
同様に、自分を笑った彼の友人達の事も、許せず。
見返してやりたい、復讐してやりたい、という気持ちが芽生えてしまった。
そして、とうとう彼女は恐ろしい事を黒板に描いてしまう。
【彼は私の事が好きで、私にずっと片思いしている。他の男子生徒も全員、私の事が好き。私と出会う誰もが、私の虜になる。私を欲しがり、私を奪い合う】
その結果、彼女は校内一のモテ女子へと変貌を遂げた。
身なりも派手になり、真面目で内気だった性格も、全て変わってしまった彼女は、以前とは真逆のような生活を送り始め。
彼女を取り巻く周囲も同様に変わっていった。
彼だけを一途に想っていたはずの彼女は、もうどこにもいない。
それは、彼女の顔をした別人とも言えるほどに。



