不意に、目に留まった石。
よろめきながら立ち上がり、植樹された木の根元にポツンと置かれていたコブシ大の石を拾い上げる。
その石を抱えたまま、保健室の窓前に立つ。
深呼吸をして、呼吸を整えると、ゴクリと唾を飲み、気持ちを固めた私は。
大きく振りかぶり、石をガラス窓に投げつけた。
ガシャン!と大きな音が鳴り、窓ガラスの破片が周囲に飛び散る。
割れたガラス窓に出来た穴から手を入れ、窓の鍵を解錠した。
そっと開けようと、大胆に開けようと。
鍵のかかった窓ガラスを開ければ、セキュリティー会社の警報機がけたたましく校舎内に鳴り響くのだ。
だったら、思い切り開ける以外の選択肢はない。
私は窓ガラスを勢いよく開け放す。
保健室の白いカーテンが風で大きくなびく。
同時に、警報機が大きな音を立てた。
「急がなきゃ。警備会社の人が来ちゃう」
窓のサッシに手をかけ、思い切りジャンプする。
かろうじて、サッシに飛び乗れた。
人には見せられない様な無様な格好で、保健室に忍び込み。
私は、レイに出会った教室を目指し駆けだす。
あと、何分ぐらいで警備会社が来てしまうのだろう。
予想も出来ないけど、それまでにチョークを使わなくちゃ!



