学校の周りを散歩している風を装いながら、私は野球部の部室裏までやって来た。
「確か、この辺だったはず……。金網の破れで、碧人は腕を怪我したんだよね」
あの傷は、何時しか綺麗に消えてしまっていたけれど。
怪我をしている間、部活が出れない碧人は、少しだけ荒れてたんだっけ。
「無いなぁ……。あ、あった!」
雑草に隠れ、尚且つ金網の穴に気づかれない様にカモフラージュとして、ベニヤ板が立てかけられていた。
私は雑草をかき分け、ベニヤ板をずらす。
人が一人やっと通れる位の穴が現れた。
碧人の様に、怪我をしない様に、慎重に頭から入り。
出来るだけ身体を縮め、小さくなり穴を潜り抜ける。
「出れた!」
野球部の部室である小屋の裏から、ひょっこりと顔を覗かせる。
人の気配はない。
よし、次は校舎内に入れる所を探さなきゃ。
体育館を一回りしてみても、空いている窓やドアは無い。
生徒達が使う玄関は?
試しに、扉に手をかけてみても、開くわけがない。
当然、鍵がかかっていた。
「どうしよう。どこか、先生がカギをかけ忘れそうな場所って無いのかな」
あちこち探して、手をかけてみるも。
鍵当番の先生が戸締りを忘れるわけがないか。



