___数日前の月曜日。


外は、シトシトと雨の降る放課後。

私は委員会の仕事を終え、薄暗くなった廊下を歩き教室に向かっていた。


「参ったなぁ。雨が降ってきちゃったじゃん。早いトコ帰らなきゃ」


手には廊下に張り出すための模造紙だの、明日配布するためのプリントだの、抱えきれない位手一杯の状態で、教室のドアを開けた。


「やっと着いたぁっ!」

「夕凪君が好きなの!」


それは同時に発した言葉。

彼女の一世一代の告白を、私の一言によって掻き消してしまった。


完璧に、空気を乱した私。

せっかくの告白シーンを台無しにしてしまった私に、野々下繭(ののしたまゆ)の鋭い視線が向けられた。


「あ。ごめんね、誰か居るとは……」

「涼香ちゃん、邪魔するなんて酷い!」


目の前で泣き出した彼女に、碧人はハンカチを差し出し。

彼女を庇う様に「場所を変えよう」と教室を二人で出て行った。


大事な瞬間を壊したのは私だけど。

二人を見送った私の心は、どこかドンヨリと雲がかかっていた。