「碧人、こんな事して……いいと思てるの?」
「繭が気になる? 俺は、自分の気持ちに嘘つきたくない」
27歳である私の気持ちは、17歳から変わっていない。
だから、きっと碧人に一度だけ抱かれたとしても後悔しないと思う。
碧人が、私以外の誰かのものになってしまうのなら。
思い出に一度くらい……。なんて、大博打を打つかもしれない。
ギュッと碧人の背中に腕を回す。
抱きしめる力は、碧人にはかなわないけど。
どうせ失恋するのなら、一度くらい碧人に愛してほしい。
繭の事も忘れて、私だけを見て。
私を想ってほしい。
碧人の手が肩にかかり、胸元のボタンを一つずつ外される。
ドキドキしている気持ちを抑えながら、私は必死に27歳の私になりきっていた。
脱がせた上着をソファに静かに置く碧人。
私は、恥ずかしくて胸元を両手で押さえ隠してみるも、成長していない胸は敢えて隠すほどでもない。
私を軽々と抱きかかえた碧人は、ダブルベッドの中央に私を沈ませ。
体重をかけない様に配慮しながら、私の身体に碧人の身体が重ねられた。
見上げる私には、碧人しか見えない。
腕を伸ばし、碧人の髪に触れる。
碧人の瞳に映る私は、メイクをした27歳の私。
ただ、中身が17歳の私が、27歳の碧人を満足させる事が出来るのだろうか。
本来の私は、キスさえも未経験者だというのに……。
「涼香の事で、もう後悔したくない。俺に身体預けてくれればいいから」



