「今から取りに行く婚約指輪って、繭の……?」
私の精一杯の質問に、碧人は顔を赤くして頷いた。
プロポーズを考えていると、碧人から相談を受けた私が、婚約指輪を選ぶためにジュエリーショップに同行し。
いかにも二人で婚約指輪を選びに来た体で、繭に送る指輪を選び出したのだと。
27歳の私……。馬鹿じゃん!
何やってんのよ。
「そっか。そうだったね、うん」
なんて、納得しつつも。
私は後悔の気持ちでいっぱいだった。
繭の告白を無効としても。
結局、碧人と繭は結ばれる運命にあったのか。
とびきり嬉しい気持ちになっていた、さっきの私を笑ってやりたい。
なに勘違いしてたのよ。
碧人と付き合っているのは、私じゃない。
婚約するのも、結婚するのも。
……相手は、私じゃない。
「改めて、おめでとう。よかったね」
「いや、未だプロポーズしてないし。OKが出るかも怪しいところだし」
「そんな事ない。繭は高校生の頃から碧人を好きだったんだもん。OKに決まってるよ」
心にもない事を、私は碧人に向かい口にする。
押し潰されそうに苦しい。
消えてしまいたい、と思いながら。



