「それじゃあ、このまま幼馴染。友達として過ごすの? あの子は遅かれ早かれ、また彼に気持ちを伝えに来るわよ」

「そんな……。このままだったら、碧人と私はどうなっちゃうの?」


詰め寄る私の周りを飛び回りながら、困った顔のレイ。

「知らないわよ」と言いつつ、再び私の掌に七色に輝くチョークを落とした。



これでどうしろって言うの?

さっき起こった出来事を消したくない私は、もうチョークを使う事が出来ないのに。

ギュッとチョークを握りしめ、黒板の前に立ってみても。


……何も書けない。


そんな私に苛立ったのか、レイは羽音を立て、私の左肩に腰を下ろした。


「しょうがないな。特別に、未来を覗かせてあげる」


世話が焼けるんだから。と言って、レイは七色のチョークに輝く粉をふりかける。

すると、七色のチョークが更に輝きを増したのだ。


「一度しか使えない。どんなことが起こっていても、それは涼香の、未来だからね」


そう言って、チョークを持った私の手を取ると、黒板に向かい動かし辛そうに、私の手を走らせる。

レイが黒板に書き記したのは……。



【涼香の10年後】