隣でもチェックインをしている人がいたとは。
ふと、私は隣で署名しているカードに目を向けた。
はい。盗み見です。
隣りに立ち、ペンを走らせていたのは男性だった。
署名カードには一人だけの名前が記入されている。
「……夕凪、碧人……」
「はい?」
男性が私に向かい返事をしたので、初めて私は記入されている名前を読み、うっかり口にしていたことに気づいた。
「ごめんなさい。わざと見たわけじゃなくて、その……」
言いかけた私は、男性の顔を改めて見て、全身に電流が走った様に固まってしまった。
……あの時、電車で助けてくれた人だ!
こんな偶然があるだろうか。
偶然訪れた場所で、また再会するなんて。
「? あの、なにか?」
不思議そうに私に尋ねた彼は、私の事を覚えていないみたい。
まぁ、そうだよね。
覚えている方が可笑しいか。
「いえ。なんでもありません。その節はお世話になりました」
ペコリと頭を下げ、私は自分の署名カードの続きを記入する。
そんな私に首を傾げた彼も、再び署名カードの続きを記入し始めた。
「お願いします」
「これでいいですか?」
ぼぼ同時に記入し終えたのか、変に声が揃っていた。



