繭と私を乗せた巡回バスは、街灯の少ない道を走り。
ぼんやりと宿の看板を照らしている街灯の前で停車した。
「ありがとうございました」と荷物を降ろした私達は、目の前に迎え建っている豪華なホテルに目を奪われた。
「ちょっと、今回豪華すぎない?」
「えー? そうかなぁ。涼香ちゃん、最近財布の紐固いもんね。まぁ、たまにはいいじゃない」
行こう。と繭は率先してホテルのロビーに入って行った。
「いらっしゃいませ」
繭と私を出迎えたのは、ホテルの女将と仲居さんだ。
「お世話になります」
「お荷物をお預かりいたします。フロントにてチェックインをお願いいたします」
仲居さんは繭のトランクと私のバッグを受け取り、フロントへ案内した。
フロントマンに、署名カードを差し出された私は、ペンを取り署名する。
繭は……。と姿を探すと、繭は既にお土産を物色しに売店に入り込んでいた。
「しょうがないなぁ。繭の名前も書いちゃおう」
再び署名カードに目を落とす。
繭の名を書きかけた時、隣に立っている人に肘が当たってしまった。
「あっ。ごめんなさい」
「いえ」



