「彼が涼香ちゃんの運命の王子様だったらどうするの? 王子様は涼香ちゃんのものにはならずに、他の人のものになっちゃうんだよ?」
それでもいいの? と詰め寄られ、私は返事に困ってしまった。
二階堂様が運命の人……。
その可能性が無いわけでもないのだ。
出逢う人には、みんな意味がある。
私にとって必要な出会い。
でも。
二階堂様には、感じなかった。
「この人だ!」っていう、不確かな事だけど、私の心が動かなかったから。
だから、彼は私の運命の人じゃないと思う。
座席の背もたれに身体を預けた私は、繭の話を右から左に受け流しながら瞼を閉じた。
実は、子供の頃から何度も夢に出てくる人がいる。
いつもシルエット越しで、顔もハッキリと分からない人だけど。
その人と出逢える事を、私は待ち望んでいる。
私は、その人と出逢わなければいけない気がして。
何故か夢から覚めた私は、せつなくて胸が苦しくなるのだ。
27歳になるまで、何度も夢に出てきた人だからか。
いつしか、私は、その人の事が好きなんだ。と思う様になっていた。
顔も名前も知らない、私の出逢うべき人に恋をしている。



