「えっとねぇ、パックとか美顔器とかぁ……」
「そんな物まで持ってきたの?」
呆れる私に、繭は口をとがらせて言った。
「何言ってるのよ、美容は一日にして成らず!よ。全部必需品なの!」
もう。これだから……。と逆にあきれられた私は、ボストンバッグひとつに全て収まってしまっている。
こういうところで、女子力の高さの差が出てしまうのかな。なんて思ってみたりして。
「あぁ! 時間ないじゃん。涼香ちゃん、急ごう」
「繭がギリギリに来るからでしょ。私のせいみたいに言わないでよっ」
合流した繭と私は、小走りで人込みをかき分け改札をくぐる。
何とかホームに着いた頃、乗車予定の電車がホームに到着した。
「セーフ!」
「セーフじゃないよ。まったく、行きから急ぐ旅になるとは計算外っ」
「まぁまぁ、これも楽しい思い出でしょ」
「調子いいなぁ」
チケットを確認し、指定席に腰を下ろす。
窓際から二席を取る事が出来たから、移動中も景色が楽しめそう。
「涼香ちゃん通路側ね。私窓側ー」
こういう時の繭はわがまま全開になる。
それも、いつもの事だから気にはしないけれど。
たまには譲ってほしいな。なんて思ってしまう時もある。
まぁ、大人なので言いませんがね。



