お待ちかねの日曜がやって来た。
数日前に起こった、嫌な出来事を払拭すべく。私は大きなボストンバッグを抱え駅の改札前に立っている。
チラリと腕時計に目を落とすと、集合時間5分前。
辺りを見渡してみても、繭の姿は見えない。
「遅刻とか、あり得ないから」
電車に乗り損ねて箱根行きがパァなんて、やだからね。
指定席を買ってしまっているから、予定している電車を見送りたくはない。
苛立つ気持ちを押さえつつ、背伸びをして交差点の先まで視線を伸ばす。
「おーい! 涼香ちゃーん」
交差点の向こう側で、大きく手を振る繭の姿を発見した私は、恥ずかしげもなく大声で叫ぶ。
「繭! 早く!」
「ごめーん、出がけに彼氏から電話があってさぁー」
私の大声に答え、繭まで大声で返事をした。
しかも、個人的な話まで付け加えているではないか。
‘分かった、分かった。その話は、後でゆっくり電車の中で聞くから’と遠くの繭に向かいデスチャーを送る。
信号が変わると、繭は私に向かって一直線に走って来た。
手には、大きなトランクを引きずって。
「お待たせっ。支度に手間取っちゃった」
「ちょっと、なんなの? そんなに荷物要らないでしょ?」



