高校を卒業し、お互いに進学をしても連絡を取り合い。

暇を見つけては、今日のように会っている。

会えば、たいてい繭の恋愛相談が主な話となり。

いわゆる恋バナが中心で。

繭の恋愛話を聞き、一緒に恋愛しているような気分を味わう日々を送った。


月日は流れ、厳しい就職活動を終え。

晴れて社会人になると、相談事も恋バナだけではなく。

仕事面での愚痴等も加わっていた。


特に浮き沈みの無い生活を送っている私にとって、繭の話は高校生の頃から、聞いているだけでも楽しい。


そう。

残念ながら、私にはネタにする様な恋バナが一切無い事が悩みの種だ。

それは、高校生の頃からなので、繭も承知の上と言わんばかりに、あえて私に恋の話を聞いてきたりしない。


「彼が最近冷たいんだよねー。連絡もくれないしさぁ」なんて繭が話し出せば、私は耳を傾ける。

繭が彼とのことで悩みを抱いても、私には聞いてあげる事位しかできない。

彼氏と呼べる人がいない私が、的確なアドバイスなんて出来るわけがないからだ。


「やっぱりさ、別れちゃおうかなぁ」

「……好きにしたら?」

「もぉ、涼香ちゃん冷たーい」

「知らないよ。結局、最後は繭が決めなきゃいけない事でしょ」