教室の片隅で、恋の話に花を咲かせている女子生徒達は、いつの時代も変わらない。

それは毎年。

生徒の顔が変わっても、何年経っても。

変わらない教室内で、代々伝わっている伝説。



【七色のチョークを使って、黒板に相合傘を描くと、二人は結ばれる】



そんなの、噂話に過ぎない。

第一、「七色のチョーク」なんて物が校内に存在していないのに。

噂話ばかりが独り歩きしている。

しかも毎年、相も変わらず……だ。


私、黒崎涼香(くろさきすずか)17歳。現実主義者。

本来なら、そんな噂話を信じていない一人だ。

真っ向から否定する、冷めた女子高生。

子供の頃から「おまじない」だの「占い」だの、信用したこともない。


片思いしているなら、直接本人に気持ちを伝えなければ、叶うことは無いと思っている。

こんな現実主義の私が、非現実的なものと出会ってしまったなんて。



きっと、誰も信じてくれないだろう……。