そしてもうすぐ、夏休みだというある日。
いつものように理科室にいると彼が来た。
でも今日は寝る気配がない。
(眠たくないのかな.....?)
そんな日もあるかと私は特に疑いもしなかった。
「なぁ、」
「おい」
(えっと、どうしました?)
話しかけられたのは初めてで驚きながらも首を傾げた。
「なんで、この時間ここにいんの。」
最高に答えづらい質問を投げ込んできた。
いつも持ち歩いているホワイトボードを取り出し
(サボりたいからですね)
そう答えた。
「なに、風邪?」
(違います)
「声でねぇの」
(そうです)
「......名前は」
(松原恵音です)
「ふりがなないとわかんねぇ。」
(ねおんです)
「ふーん、」
彼はそういうと私の長い髪1束救い上げ
思わず体が震えた
「わるい、無意識」
彼が怖かったわけではない。
彼があの人と被って思わずびっくりしただけだった。
