(いつもは来ないのに......)


今日はお客さんがいるようだ。


その人は私に気づくと隣に座りずっと、眺めてくる


ちらりと見ると、男子生徒だった。


(な、なに.....?)


人よりも茶色く染まった髪


ルーズに着こなした制服


ほんのりとかおるタバコの匂い



一瞬でヤンキーだとわかった。




数分経って彼は顔を伏せて



(ね、ねてる?)




規則正しく寝息をたて、寝始めた。

結局彼がいたからなにかあったわけでもなく

チャイムが鳴っても彼は起きず

私は先に理科室を出た。




声が出ない事もあり人と関わるのはあまり好きではない。

ましてや男子なんて、私は目の中に映ることすら拒みたいくらい。



でも彼は、梅雨で曇っていた空も照らせそうな



そんな、優しい光を持っている気がして



(目が離せなかった......)



その日を境に週一回の音楽の時間理科室に行き数分経つと彼が来て隣で寝る事が当たり前になった。


梅雨があけても彼はかかさず来ていた。