( いってきます )

太陽が眩しく私を照らす朝。

っていうお決まりの始まりは全くなく、



傘に跳ねる雨音

アスファルトに降る雨音

水たまりを踏む音



色んな音が交じる梅雨は決して嫌いではない。

今日はその梅雨真っ只中の朝だ。


私は、松原 恵音 neon

"恵まれた音"で恵音。


ベンチとすべり台しかない小さな公園も

最寄り駅前の大きな時計台も

私にとっては嫌な思い出しかない。



そんな道を通り、駅から4つ離れた所にあるのが

私が通う桜山高校。




「おっはよ~恵音」

後ろから抱きつきながら挨拶してきたのは

中学からの友達の石原 茉莉 matsuri




(おはよう、茉莉)




私は心の中で挨拶して軽く頭を下げた。

2ヶ月前に私達は高2となりクラスが離れた。

そんな今でも変わらず仲良くしている。