大雅はもともと誰とでも仲良くなれるタイプで、やっちゃんや時々私にも話を振ってくれた。


私に関してはバカにされてるとしか思えないような話の振り方だったけど、ガマンガマン。


やっちゃんのためだもんね。


この機会に2人の距離が少しでも縮まればいいと思った。



「うわ、大きな家。さすがだね」


「お坊っちゃまだからな。王子様って言った方がしっくり来るけど」


「すごいね」



そんな2人のやり取りを聞きつつ、れおの家のインターホンを鳴らす。


しばらくしても応答はなく、シーンと静まり返ったままだった。



「怜音の奴、どっか出かけてんのか?」


「具合いが悪いのに?」


「さすがに2週間も休めば、出歩けるくらいにはなるだろ」


「確かにそうだけど。ちょっとメッセージ送ってみる」



カバンからスマホを取り出し、メッセージの送信画面を開いた。



『今なにしてる?』



絵文字もなにも付けずに、シンプルなその言葉だけを送信した。


すると5分も経たないうちにれおからの返信が来た。



『病院にいる』


『病院?なんで?どこか悪いの?』


『電池交換』



電池……?


なんの?


あ、もしかして補聴器の電池のこと?



『今日会える?今れおんちの前にいるんだけど』


『ごめん。来週から学校に行くから、その時でいい?』



来週。


それまでは逢えないってことだよね。


明日は土曜日だけど、この文面からすると土日も逢えないってことになる。


来週までおあずけか……。