ちゃんと伝えなきゃ。
私も、れおのことが好きなんだって。
次じゃなくて、今伝えよう。
「わ、私も……れおのことが」
「返事は……補聴器の電池交換が済んでから聞かせて。直接、しずの声が聞きたい」
覚悟を決めて言おうとした矢先、れおが私の言葉を制した。
普段爽やかで落ち着いているれおだけど、今は緊張した面持ちでどこかソワソワしている。
知らなかった、れおにもこんな一面があったなんて。
「わかった……今度、言うね」
「ありがとう……。それと、キスとか……変なこと言ってごめん。どうかしてたよ」
気まずそうに頬を掻いたれおは、私と目が合うとすぐにパッとそらした。
耳や頬が赤い気がするのは、気のせいかな。
もしかして、今さら照れてるとか?
れおでも、照れることってあるんだ。
知らなかった。
なんだか知らないことだらけで、これまでのれおがれおじゃないみたいに思える。
まだまだ、私の知らないれおの顔がいっぱいあったみたい。
この先、まだまだたくさんあるれおの色んな顔を見てみたい。
この時は見れると信じて疑わなかった。
この時れおの制止を無視してでも、ちゃんと気持ちを伝えておけばよかったってーー。
今でも私は後悔してる。