「じゃあそれをプレゼントする。もう決めたから、拒否するのはなし」
「え?で、でも」
れおはネックレスを手にすると、あたふたする私を残してレジへ向かった。
いいの、かな?
れおの特別だって、自惚れてもいい?
誰よりも大切な存在なんだって、そう思ってもいいの?
こんなことをされたら、誰だって期待しちゃうよ。
「お待たせ。はい、これ」
なんとなくお店の外で待っていた私に、れおは可愛くラッピングされた包みを差し出した。
爽やかにはにかむれおから、両手でおずおずその包みを受け取る。
「誕生日おめでとう」
「ありが、とう」
「どういたしまして」
「大事にするね」
大事すぎてつけられないから、部屋に飾っておく。
毎日眺めて、その度に今日の幸せな日のことを思い出すんだ。
そしたら、離れ離れになっても寂しくないでしょ?
プレゼントを選ぶのに歩き疲れた私たちは、フードコートで休憩することにした。
私の好きなクレープ屋さんがあったので、私はイチゴのカスタードクリームのクレープとオレンジジュースを、れおはホットコーヒーだけを持って席に座る。
おやつ時だからなのか、お昼を過ぎたというのにフードコートはまだ混雑していた。
ガヤガヤうるさいけど、この雰囲気は嫌いじゃない。
「しず、クリーム付いてる」
「え?やだ、恥ずかしい」
空いていた方の手でとっさに口元を拭う。
「そっちじゃなくて、こっち」
れおの綺麗な指が私の口元に伸びて、クリームをそっとさらっていった。
手が触れた瞬間ビクッとなって、次第にそこが熱を帯びたようにジンジンし始める。