さっきのは……なんだったの?
夢?
幻?
れおが私を押し倒して、優しく髪にキスするなんて。
状況が飲み込めずにポカンとしている私を残して、れおはヒョイと私の上から退いた。
髪の毛に神経なんて通っていないのに、口付けられた部分がものすごく熱く感じる。
「はは、真っ赤」
「だだ、だって……!れおが、いきなりわけのわかんないことをするから!」
赤くなったのを隠すように両手で顔を覆う。
れおはそんな私を見て面白そうにクスクスっている。
な、なんなの?
私の照れてる姿がそんなに面白い?
指の間からチラッと様子をうかがうと、思わず目が合ってしまってさらに鼓動が跳ねた。
「言ったじゃん、仕返しだって。しずが俺にしたことを思えば、小さいもんだろ」
「わ、私がなにをしたって?」
「無自覚かよ、まったく」
「…………」
さっきから会話が噛み合ってない気がするんですけど。
私、まったくわけがわかりませんけど。
「ま、いいや。コーヒーがあるんだっけ?向こうで休憩しよう」
「れおって、サラッと交わすよね」
「そう?」
なんて言いながら意味深に笑ったれおは、私からビニール袋を取り上げてテーブルの上に置いた。



