ピョンと跳ねるれおの髪を見ていると、思わず笑いが込み上げて来た。
普段が真面目なれおだけに、こういう姿を見るのは稀だ。
「人の目の前で、なにニヤついてんだよ?」
「え?やだなぁ、ニヤついてないよ」
指摘されて、とっさに手で口元を隠した。
「ふーん。これでも?」
「あ……!」
口元を覆っていた手をグッと掴まれ、そこから離される。
すると、未だに笑いの収まらない口角の上がった口元があらわになった。
「ほら、やっぱりニヤついてる」
「ニヤついてないよ。れおの寝ぐせがおかしくて、笑ってるの」
「同じだろ」
「えー、意味が全然違うよ」
「俺、時々しずがわからない」
「ふふ、そう?」
「はぁ」
首を傾げてにっこり笑うと、れおはやれやれといった感じでため息を吐いた。
「そうやってすぐ俺の髪に触るのも、平気でベッドに座るのも、全然理解出来ないんだけど」
「え?だって、れおがそこに座るから。いつもは隣に寝転んだりしてるじゃん。あ、そうだ。差し入れにコーヒー買って来たよ!あと、ケーキも」
どうして急にそんなことを言うんだろうと疑問に思ったけど、手にしていたビニール袋のことを思い出した。
「さ、あっちで食べよう」
立ち上がり、れおの手を引っ張る。



