「早く告ってくっつけよって話」
「ええっ!?」
くく、くっつく?
思わず目をパチクリさせる。
それって、付き合えって意味?
ムム、ムリ……だし。
いや、私じゃなくてれおがね。
そもそも、れおは私のことをそんな風に見てないんだから。
「ムリとか思わないで、しずくから押し倒すくらいの勢いで行けよ」
「な、押し倒すって……!そんなこと出来るわけないでしょ!変なこと言わないでよ」
「ははは、冗談だろ」
ケラケラ笑うカナさんをキッと睨みつける。
まったくもう!
これじゃ、どっちが子どもだかわかんないよ。
そうこうしているうちに、いつの間にか庭を抜けて家の前にたどり着いた。
カナさんが変なことを言うから、なんだか緊張して来ちゃったじゃん。
「お邪魔、します」
いつもなら声を張り上げてする挨拶も、なんだか声が小さくなってしまった。
吹き抜けの天井には高級なシャンデリアと、玄関の壁にはサクさんの趣味の油絵が飾られている。
いつ来ても埃一つ落ちてない室内は、ハウスキーパーさんによる努力の賜物。
これだけ広い家の中を掃除するのは、大変だよね。
広い家に住むのは憧れるけど、掃除するのが面倒だからアパートでいい。
以前れおにそう言うと『しずらしい』と言って笑われた記憶がある。



