お菓子を一通り食べ終え、ダラダラしながら過ごした。


れおは自分からあれこれ話すタイプではないから、私から話を振ることが多い。


俳優の誰がカッコいいとか、来月公開の映画を観に行きたいとか、クリスマスはどうしてるのかとか、年末はどうするのかとか、お年玉で何を買うかとか。


ささいなことばかりだけど、れおのことならなんでも知りたい。



「今年は受験生だから、クリスマスも年末もお年玉もないだろ。ましてや、映画なんてもってのほか」


「うっ、ですよね……」



うん、わかってたよ。


今年は受験生だから、おあずけだってことは。


でも、今年のクリスマスと年末が過ぎて春が来たら、れおは遠くに行っちゃうじゃん。


その前に形として残る物が欲しいんだよ。



「じゃあ……受験が終わったら、デートしてくれる?」


「デート?」


「……うん」



私たちはほとんどお互いの家で会っていたから、まともにどこかに出掛けたことがない。


こんな風に誘うのも初めてのことだから、緊張して変に胸が高鳴った。



「どこに行きたいんだよ?」


「これから考える。ダメ、かな?」



恐る恐るれおの顔を見上げると、れおは口元をゆるめて柔らかく笑っていた。