「で、なに?用があるから話しかけて来たんでしょ?」


「ん?ああ……」



本来の目的を思い出したのか、さっきまでの威勢の良さは消え失せ、じっと私の顔を見つめて来る。


改めて見ると、確かに大雅も整った顔をしているかもしれない。


まぁ、れおの足元にも及ばないけど。



「大丈夫か……?」


「え?」



大丈夫かって、なにが?



「だから、怜音のこと。あいつ、遠くの高校に行っちまうだろ?しずが泣いてるんじゃないかと思って」


「心配してくれたんだ?」


「ばっ、別に心配なんかしてねーよ!ただ、しずと怜音は仲が良かったから……」


「ふふ、ありがとう」



口では突っ張ったことを言いながらも、優しい一面もある大雅。


ねぇ知ってる?


それを心配してるって言うんだよ?


おかしくて思わず笑ってしまった。



「な、なに笑ってんだよ?バーカ!俺は、しずの心配なんて一切してないんだからなっ!」


「はいはい、わかってますよ。でも、ありがとう」


「……っ」



ニッコリ微笑んで見せると、大雅は言葉を詰まらせ何も言い返しては来なかった。


何か言いたそうにプイと顔を背け、唇を尖らせている。


耳が赤い気がするのは気のせいかな。


それにしても、ガキだよね。



「もう、スネないでよ。私ね、れおのことは応援しようと思ってるの」


「別にスネてねーし。応援、か」