「うん。俺、星ヶ崎高校でバスケがしたい。かなり悩んだけど、やっぱりどうしても星ヶ崎がいい」



今までに見たことがないくらい、真剣な瞳だった。


いつもどんな時でも、優しく笑っていたれおの姿はどこにもない。


それだけで、れおの本気度が伝わって来た。



「うん……!知ってる。応援してるから、頑張ってね」



ツラくて悲しいけど、私がガマンすればいいだけのこと。


れおのためなら耐えられる。


耐えなきゃいけない。


なにも、一生会えなくなるわけじゃないんだから。


笑って、応援してあげなきゃ。



「たまには……帰って来てよね!私のこと、忘れちゃやだよ」



頬がピクピク引きつったけど、それをなんとか堪えて思いっきり笑った。


れおは安心したように息を吐いて「忘れるわけないだろ」と、優しくつぶやいた。


頭をポンポン撫でられて、ガマンしていたはずの涙が溢れそうになる。


やめてよ、そんなに優しい手付きで撫でるのは。


れおの手の温もりを手離したくないって思ってしまう。


応援……出来なくなっちゃうじゃん。



「しずに会いに帰って来るよ」



うつむいた私の耳元で、れおの優しい声がした。