体育館に近付くと、速度を落として入口からそっと中を覗き見た。
全力疾走したせいか息が苦しい。
深呼吸を繰り返しながら息を整え足を踏み入れる。
隅っこの目立たない場所に移動して、小さく三角座りをした。
中ではひとつのコートを使って、男子数人が楽しそうにバスケをしている。
その中に見つけたれおの姿に、胸がギュッと締め付けられた。
真剣な顔でボールを追う姿も、腕で汗を拭う仕草も、全部が全部カッコよくて見入ってしまう。
シュートが決まると笑顔で大雅とハイタッチをしている姿なんて、まるで子どもみたい。
楽しそうにプレイしちゃってさ。
まるで、私のことなんて気にしていないみたい。
それほど……バスケが好きなんだね。
私は……れおからその笑顔を奪おうとしていたの?
そんなの……最低だ。
れおの悲しむ顔はもう見たくない。
だったら……れおのことを心から応援してあげなきゃダメじゃん。
自分ばかりがツラいと思って、れおの気持ちを考えていなかった。
離れ離れになりたくなかった。
ずっと一緒にいたかった。
一方的な私の願いだってわかっていたけど、どうすることも出来なかった。
でもね。
れおの笑顔を見て、決心したよ。



