そしてそのまま視線が重なる。
遠目でもれおの魅力は健在で、スラッとしててカッコいい。
見ていたことがバレたのが恥ずかしくて、とっさに目をそらした。
視界の端に悲しげなれおの顔が映ったことに気付いたけど、どうすることも出来ずにただ唇を噛み締める。
「怜音、さっさと行こうぜ。時間なくなる」
「おう」
2人が教室を出て行ったのが気配でわかった。
わかってる。
いつまでもこのままじゃよくないよね。
れおとちゃんと話さなきゃ。
「桐生君、しずくに何か言いたそうだったけど。このままでいいの?」
「…………」
やっちゃんは鋭いというか、人のことをよく見ていつも的確なことを言ってくれる。
「このままじゃ……やだ」
「だったら、追いかけなよ。桐生君も、きっと待ってるよ」
「うん……!やっちゃんごめん、ちょっと行って来る」
「はいはい、人騒がせなんだから」
呆れ顔を見せながらも、やっちゃんは優しく笑っていた。
そんなやっちゃんに手を振り、教室を飛び出した。
目指すは体育館だ。
脇目も振らずに階段を駆け下り、体育館へと続く渡り廊下を突っ切る。
なにを話すかとか、なにが言いたいのかとか、一切決めていないけど。
それでも、れおと話したい。



