整った顔と切なげな瞳に胸が締め付けられる。
「そんな顔しないでよ、れお」
おでこにあったれおの手を思わずギュッと握った。
「れお」
「ん?」
「カリフォルニアに行きなよ」
「は……?」
唇から言葉を読み取れなかったのか、れおが変な声を出した。
カリフォルニアって手話でどうやるんだっけ?
わかんないや。
スマホは……ないな。
紙とペン!
辺りをキョロキョロ見回したけど、それらしき物は見当たらない。
今はまだ自由に動けないから、意思を伝えるのが難しい。
「大丈夫、読み取れたから」
淡々としたれおの声が響いた。
その顔は無表情で、れおがなにを思っているのかはわからない。
でも、私はこのままじゃ嫌なんだ。
れおに夢を諦めてほしくない。
思うままに生きてほしいの。
「れおには夢があるでしょ?カリフォルニアの大学に行けば、その夢は叶うんじゃないの?」
「俺はしずのそばにいたいから。っていうか、こんな時にそんな話をすることないだろ」
「こんな時だからだよ」
だって、今じゃなきゃ言えない気がするもん。
「れおが言ったんだよ?行きたい大学に行かなきゃ、絶対に後悔するって」
「俺は地元の大学に行くって決めてるから」
「そこはれおが本当に行きたい大学じゃないでしょ?」
「んなわけないだろ」
「れお」
れおがなんて言おうと、私の考えは変わらない。
本当は離れ離れになるのは不安でたまらないけど、れおの夢を犠牲にするくらいならガマンする。