そのあとすぐに先生が来て、簡単な検査が行われた。


その結果、脳や神経に異常はなし。


念のために付けられていた酸素マスクや心電図も外されて、身軽になった。


手足はちゃんと動くからしばらく安静に過ごせば、日常生活はなにも問題なさそう。


全身の軽い打撲で済んだのが奇跡的だったようで、私はどうやら居眠り運転の車にひかれたらしかった。


3日間ずっと眠りっぱなしで、いつ目を覚ますかわからない状態だったらしい。


れおはずっとそばにいてくれたのか、目の下にクマが出来てやつれたような顔をしていた。



「れお……?大丈夫?」


「ごめんな。俺を助けたせいで、しずがこんな目に……」


「大丈夫だよ。あの時は体が勝手に動いたんだもん。自分でもビックリしちゃった」


「…………」



オレンジ色に染まった夕暮れの病室で、れおは神妙な面持ちのまま黙り込んだ。


れお、そんな顔しないで。


笑ってよ。



「れお。今日はもう帰って休んで?疲れてるでしょ?」


「大丈夫」


「ウソ。やつれてるよ」


「大丈夫だから」


「でも」


「しつこい」



頭をポンと叩かれた。


れおはそのまま私のおでこに手を置いて上から見つめて来る。