『しず!俺さぁ、大きくなったらお母さんみたいな立派な医者になりたい!病気の人をたくさん治療して、元気にしてやりたいんだ!』


『うん!れおならなれるよ!』


『しずが病気になったら、俺が治してやるからな!』


『うん、約束ね!』


小学1年生の頃、笑顔で指切りをした私とれお。


れおの大切な夢を……どうして忘れてたんだろう。


事故に遭ってから、れおはその夢を口にしなくなった。


れおの夢は、立派なお医者さんになること。



ーーピッピッピッピッ



だんだん意識が戻って来る感覚がしてゆっくり目を開けた。


全身が固まってしまったように硬くて、指先を少し動かすのも億劫。


あれ、でも手があったかい。


誰かに包まれてるような気がする。


懐かしい感触だ。


「れ、お……?」


霧がかった視界の中、うっすら見えた人影。



「しず?目ぇ覚めた?よかった」


「あれ、わた、し……生きて、る?」


「なに言ってんだよ、当たり前だろ」



表情をゆるめてホッとしたように息を吐くれお。


どれだけ心配してくれていたんだろう。


私の手をギュッと握って、よかったって何度も繰り返しつぶやいてた。


「マジで……よかった。しずがいなくなったらって考えたら……俺」


「へへ、強運だったな」


「バカ。なんであんな危ないマネしたんだよ」


「だ、だって、夢中だったんだもん……」